イベント
リベラリズムとポストリベラリズムの対話―パトリック・デニーン氏を迎えて
●開催日時と場所
日時:2026年6月5日(金)13:00〜14:30
場所:同志社大学 今出川校地 寒梅館ハーディーホール
●趣旨
冷戦終焉後、個人の権利、自由市場経済、開放的な国境等を掲げるリベラリズムは、普遍的な政治秩序として広く受容されてきた。しかし近年、経済格差の拡大、地域共同体の衰退、宗教や家族の弱体化、文化的分断や政治不信を背景に、その前提を問い直す動きが、欧米を震源地として世界各地で強まっている。
こうした動向の中で注目を集めてきたのが、政治思想家パトリック・J・デニーン氏である。デニーン氏は、『リベラリズムはなぜ失敗したのか』において、「リベラリズムは未完の理想にとどまったがゆえにではなく、むしろ、その理念を実現したがゆえに失敗した」と論じ、個人の自由を最優先するリベラリズムが、共同体や公共精神を衰退させたとの問題を指摘した。近年は、宗教・家族・地域共同体を重視するポストリベラルな政治秩序の可能性を提起している。
今日の世界に目を向ければ、グローバリズムへの反発や国家主権の再評価を背景に、欧米では、自由主義秩序をめぐる対立が一層鮮明になっている。他方、過日のハンガリーの政変に示されるように、ポストリベラル的潮流もまた、新たな局面を迎えている。これらの世界的な動向と、日本の未来は決して無縁ではない。
本シンポジウムは、デニーン氏との対話を通じ、自由と共同体、個人と公共善をめぐる問いなどを多角的に掘り下げる。そして、自由主義秩序の未来、ポストリベラル時代における政治共同体のあり方を展望したい。
●プログラム
司会:飯田健(同志社大学法学部教授)
・基調講演:パトリック・デニーン(ノートルダム大学教授)
・パネルディスカッション
パトリック・デニーン
吉田徹(同志社大学政策学部教授)
三牧聖子(同志社大学グローバルスタディーズ研究科教授)
・フロアとの質疑応答
●登壇者の略歴
◎パトリック・J・デニーン(Patrick J. Deneen)氏
ノートルダム大学教授。専門は政治思想。建国以来の個人主義的なリベラリズムを批判し、共通善やコミュニティを強調する立場であり、現代米国思想の大きな潮流となりつつある「ポストリベラル」をけん引する代表的知識人。ニューライト(民主・共和のどちらの主流派にも批判的で中間層の再興やコミュニティを重視する立場)の有力な政治家でありカトリックに改宗したJ.D.ヴァンス副大統領とは定期的に意見交換を行うなど特に親交が深い。オバマ元大統領も称賛した『リベラリズムはなぜ失敗したのか』(2018年原著出版)は書評が相次ぎ、多くの関心を集めた。近年もRegime Change: Toward a Postliberal Future(2023)やAmerican Odyssey : What an Ancient Story Reveals about Our Divided Souls(近刊)など、重要かつ論争的な著作の刊行が続いている。
◎飯田健
1976年生まれ。1999年同志社大学法学部政治学科卒業(在学中1997年度、早稲田大学政治経済学部政治学科に国内留学)。2001年同志社大学大学院アメリカ研究科博士前期課程修了、修士(アメリカ研究)。2007年テキサス大学オースティン校政治学博士課程修了、Ph.D.(Government)。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科助教、神戸大学大学院法学研究科特命講師等をへて2013年同志社大学法学部准教授、2019年より教授。専門は政治行動論、日本政治、アメリカ政治。
◎吉田徹
1975年生まれ。日本貿易振興会(JETRO)、東京大学総合文化研究科(学術博士)等を経て北海道大学法学研究科教授。現在、同志社大学政策学部教授、フランス国立社会科学高等研究院日仏財団リサーチアソシエイト。専攻は比較政治学、欧州政治。英論文に “Populism in Japan: Actors or Institutions?"(2023); "Parliaments in an age of populism" (2020)など。
◎三牧聖子
1981年生まれ。同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授。専門はアメリカ政治外交。東京大学大学院総合文化研究科で博士号取得(学術)。主な著書に『戦争違法化運動の時代-「危機の20年」のアメリカ国際関係思想』(2014年)、『Z世代のアメリカ』(2023年)、共訳・解説に『リベラリズムー失われた歴史と現在』(ヘレナ・ローゼンブラット著、2020年)など。
主催 同志社大学 共催 国際交流基金
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